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オーバーホールQ&A

オーバーホールQ&A

ダイビング器材がなければスキューバダイビングで水中を楽しむことはできません。ダイバーにとって器材は命の次に大事なものなのです。そのためにマイ器材を使うことが推奨されているわけですが、いつでもすぐに潜れる状態にしておく必要があります。そのためにオーバーホールが必要なのですが、オーバーホールとは? いつ出せばいい? オーバーホールで何が行われるの? 出さなかったらどうなる?などの疑問を今回は解消していただきます。

※2024年1月現在の情報です。

オーバーホールって何?

そもそも「オーバーホール」とは何のことでしょう? どうして必要なのか? どんなことをするのか? 基本的なことをオーバーホール業の大ベテラン、《アイダック》代表の木下嗣善さんにお伺いしました。

Q
ダイビング器材のオーバーホールとはそもそも何ですか?

ダイビング器材を細かく分解して洗浄したりパーツ交換をしたりして、新品同様にします

ダイビング器材を細かく分解して洗浄したりパーツ交換をしたりして、新品同様にします
写真提供/アイダック

木下さんの回答
ダイビング器材は、太陽の紫外線を浴び、ほぼ塩水の中で使用されますので、それに耐えられるように頑丈に造られていますが、それでも丁寧に水洗いしても内部に塩がこびり付き、ゴムや金属のパーツはどんどん時間が経つにつれ劣化します。オーバーホールとは、そうした劣化から器材を守り、長い間使い続けることができるように、器材を分解・洗浄してサビや塩分を取り除き、劣化したパーツを新しいものに取り替え、新品に近いパフォーマンスを回復する作業です。

Q
オーバーホールをすべきダイビング器材は何ですか?

お客さまが出したレギュレーターのセカンドステージを分解したところ。かなり塩にまみれています

お客さまが出したレギュレーターのセカンドステージを分解したところ。かなり塩にまみれています
写真提供/アイダック

オーバーホール後のお客さまのセカンドステージのパーツ。ピッカピカです

オーバーホール後のお客さまのセカンドステージのパーツ。ピッカピカです
写真提供/アイダック

木下さんの回答
大まかに言うと50~100ダイブ使用したレギュレーター(ファーストステージ、セカンドステージ)とオクトパス、ゲージ、BCです。ダイブコンピュータも当てはまります。BCやレギュレーターなどどこかからエアが漏れている、または使っていて音や呼吸抵抗などに違和感を感じる、フィルターや金属部が変色しているなどを感じたら、オーバーホールに出すタイミングです。または誰かに譲ってもらったりネットなどで中古品を買った物などは、使用する前にオーバーホールに出すと安心です。

Q
オーバーホールすべきダイビング器材の、特にどんな部分が傷みやすいのでしょうか? 傷まないためにオーバーホールをする時にどんなことをしているのですか?

高圧をかけてメーカー既定の数値になるまで調整することもオーバーホールの大事な作業

高圧をかけてメーカー既定の数値になるまで調整することもオーバーホールの大事な作業
写真提供/アイダック

木下さんの回答
外から見た目ではわからないですが、レギュレーターにしてもBCのインフレーターホースにしても、内部にはゴム製のOリングがたくさん入っています、それらや高圧空気を制御するシートなどが痛みます。ほかにはマウスピースや各ホース類も劣化していきます。
オーバーホールではそれらを定期的に交換して新品に近いパフォーマンスに仕上げます。

オーバーホールに出さないとどうなる?

命の次に大事なダイビング器材だけに、普段からしっかりお手入れをしておきたいものですが、意外とオーバーホールに出すのが面倒くさいというダイバーも少なくないようです。でも、オーバーホールに出さないとどうなってしまうのでしょう? ダイビング器材のオーバーホールを専門に30年以上の経験と実績を持つ東京の《オーバーホールセンター》の酒井準さんにお話を伺いました。

Q
オーバーホールに出さないとダイビング器材はどうなりますか?

レギュレーターやゲージのホースはゴム製。よく見ると亀裂がいくつも入っていて破裂の危険が

レギュレーターやゲージのホースはゴム製。よく見ると亀裂がいくつも入っていて破裂の危険が
写真提供/オーバーホールセンター

インフレーターホースやレギュを分解すると接続部分にことごとく砂や塩が噛んでいる……

インフレーターホースやレギュを分解すると接続部分にことごとく砂や塩が噛んでいる……
写真/後藤ゆかり

酒井さんの回答
海中という塩分を含んだ水にさらされ、上がれば炎天下で強い陽射しの下に置かれ、金属部分やゴム部分は劣化の一途を足早に歩んでいきます。もしオーバーホールに出さなければOリングやホースなどのゴム類は劣化して破裂や空気漏れ、水漏れの危険が出てきますし、金属部分は塩がかんでフリーフローの原因になったり、さび付いて呼吸にも悪影響を及ぼすことになります。

Q
オーバーホールせずに器材を放っておくとどのような状況が生まれる可能性がありますか?

水垢がこびりついたセカンドステージ

水垢がこびりついたセカンドステージ
写真提供/オーバーホールセンター

ファーストステージをオープンすると緑青がべっとり

ファーストステージをオープンすると緑青がべっとり
写真提供/オーバーホールセンター

酒井さんの回答
定期的にオーバーホールをしないと、上記のようなリスクが大きくなりますが、置き場所によっては、何かの虫が卵を産み付けたり、カビが増殖してひどい臭いを発したりすることもあります。持ち込まれた段階から臭いがきつくて解体するのが嫌になってしまうほどのものもたまにあります。

Q
オーバーホールに出していない期間、ダイビング器材をしまうときはどんなことに気を付け、どのように保管したらいいですか?

酒井さんの回答
まず、ダイビングが終わったらダイビング器材は現地で水洗いをして乾かして戻ってくると思うのですが、帰宅後ももう一度きれいな水で洗浄して、乾かすことをお勧めします。その際、レギュレーターのホースガードはずらして付着物をシャワーなどで水洗いし、ダストキャップを必ず取り付けた状態で水を張った浴槽に1時間ほど浸けておくとなおいいです。その後、水分を拭き取ってから日陰で干しますが、ホースに負担がかからないように、ゆるく巻いて洗濯竿などに干すといいですよ。

オーバーホールに出す目安はいつ?

冒頭にもありましたが、オーバーホールにはいつ出せばいいのでしょう? 頻繁に使っている場合は? 年に1回10本前後潜るのみというダイバーは? ここでは大阪の有名オーバーホール店《サーチシィー》の代表、高橋稔昌さんにお伺いします。

Q
オーバーホールに出す時間的な目安はありますか?

バッテリー交換タイプのダイブコンピュータはバッテリーがなくなる直前(マークや表示が点滅するなどでわかります)が交換時期

バッテリー交換タイプのダイブコンピュータはバッテリーがなくなる直前(マークや表示が点滅するなどでわかります)が交換時期
写真提供/サーチシィー

高橋さんの回答
通常見た目では、緑青や白い石灰など目立つようになった時もオーバーホールのタイミングの一つと考えています。
あとは一般的にいわれているように一年に1回、もしくは100本に1回といったタイミングです。

Q
ダイビング器材でオーバーホールに出すべき兆候が見えることはありますか?

緑青が浮き出てきたら、完全にオーバーホールに出す目安です

緑青が浮き出てきたら、完全にオーバーホールに出す目安です
写真提供/サーチシィー

高橋さんの回答
呼吸の際にいつもよりもレギュレーターの「吸う音」が大きく感じられたり、BCのインフレーターやレギュレーターのパージボタンなどボタンや可動部分の動きが少し悪く感じた時もオーバーホールの良い時期と考えます。

Q
オーバーホールではどのような作業をされるのですか? それにかかる期間はどれぐらいですか?

分解したパーツを洗浄機に入れて洗浄します

分解したパーツを洗浄機に入れて洗浄します
写真提供/サーチシィー

セカンドステージの最終点検中

セカンドステージの最終点検中
写真提供/サーチシィー

高橋さんの回答
オーバーホールの工程を簡単に挙げると……
現状確認→分解→洗浄→乾燥・拭き上げ→グリスアップ→パーツ交換→組み立て→一次密封検査→調整→二次密封検査→全水没エア漏れ検査→取り付け・エア漏れ点検→乾燥と最終点検→納品
と大まかに14段階があります。
また、ダイブコンピュータなどバッテリーに関していえば……
バッテリー交換:ボタン等の現状検査→電池交換にて動作テスト→新品の電池交換→グリスアップと内部清掃→加圧水没検査→時計合わせ→納品
です。
作業時間はレギュレーターの場合、通常10日間を見てもらっていますが、急なリクエストにもご対応しています。納期については注文時にお問い合わせください。

オススメのオーバーホール専門店

いかがでしたか? ダイビング器材のオーバーホールがいかに大事か、わかっていただけたと思います。では、どこにお願いすればいいのでしょう?
オーバーホールは、ダイビング器材を買ったダイビングショップでも受け付けてくれますが、オーバーホールを専門としている会社(お店)があって、各メーカーの交換パーツやオーバーホール工具を常備している場合が多いので、オススメです。各専門店のホームページに予約や申し込みフォームがありますので、それを利用して簡単にお願いできるのも魅力です。「次のダイビングまでに10日間ぐらいしかないんだけど……」といった急ぎの場合も対応してくれることが多いので、連絡して相談してみましょう!
今回オススメするのは次の3店です(50音順)。

アイダック

アイダック

所在地:大阪府大阪市阿倍野区
TEL:0120-282-544(フリーダイヤル)
E-mail: info@i-dac.co.jp

●取り扱い器材:レギュレター・オクトパス・BCDなどスキューバ器材全て
●取り扱いメーカー名:アクアラング、マレス、スキューバプロ、TUSA、Bism、ATOMIC、Apeks他、国内流通メーカー全て

●価格:9,800円(スキューバ一式・期間限定キャンペーン価格)

●その他のサービス:ダイブコンピュータ電池交換、ウェットスーツ・ドライスーツ修理販売、器材下取り販売など

【コメント】
創業以来31年、消防・警察などの公官庁や日本全国300余りのダイビングショップなどプロへのサービスを中心に行っていましたが、一般ダイバーのご要望にお応えして、スキューバダイビング器材のメンテナンスを受付可能となりました。「ダイバー応援キャンペーン」ではリーズナブルな価格をご提供。経験豊かで確かな技術を誇る施工者は、全員インストラクター資格保有!

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オーバーホールセンター

オーバーホールセンター

所在地:東京都北区
TEL:03-5924-2344
E-mail: info@ohc.co.jp

●取り扱い器材:レギュレーター、BC、ダイブコンピュータ、ドライスーツ、タンク
●取り扱いメーカー名:SCUBAPRO(スキューバプロ)、mares(マレス)、SHERWOOD(シャーウッド)、AQUALUNG(アクアラング)、Apeks(エイペックス)、SAS・REYSON・DACOR(エス・エー・エス レイソン ダコー)、TUSA(ツサ タバタ)、ATOMIC(アトミック)、Bism(ビーイズム)、apollo(アポロ)、Cressi(クレッシー)、DIVEWAYS(ダイブウェイズ)、NDS(エヌディーエス、日本ダイビングスポーツ)、SeaQuest(シークエスト)、OCEANIC(オーシャニック)、SEA & SEA(シーアンドシー)、COCHRAN(コックラン)、CITIZEN(シチズン)、CASIO(カシオ)

●価格:1セット¥9,980の特価

●その他のサービス:都内唯一の東京都指定タンク検査場(14環改保高 第705号)
最高300kg/cm2(29.4M.Pa)の高圧ガス製造事業所(14環改保高 第2001号)
中古器材の買取、販売専門店、レンタル水中カメラ、ダイブコンピュータ、ダイコン、ドライスーツも取り扱い(東京都公安委員会許可 第305520106858号)

【コメント】
信頼と実績のある老舗のダイビング器材のオーバーホール専門店。メーカー推奨、公認。 1セット¥9,980の特価に加え、送料無料。さらに2セット以上だと10%割引。また、2024年4月5日(金)~7日(日)開催のマリンダイビングフェア2024にも出展。会場割引もありますのでぜひお越しください!

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サーチシィー

サーチシィー

所在地:大阪府大阪市
TEL:06-6626-0550
E-mail: info@search-sea-ni.com

●取り扱い器材:レギュレターセット、BC、ドライスーツ(バルブ・修理・手首・首交換)ウエットスーツ(補修・幅だし)、ダイブコンピュータ電池交換、タンクバルブ
●取り扱いメーカー名:アクアラング、マレス、SAS、Bism、レイソン、NDS、スキューバプロ、アトミック、apeks、アポロ、ダイブウェイズ、TUSA、PELICAN、スント、ワールドダイブ、モビーズ、ゼロ 等全てのメーカー(クレッシーサブ、オーシャニック、シャーウッド、Hele I Waho以外)

●価格:1ST+2ND工賃¥5,500(税込)、電池交換¥4,400(税込)~

●その他のサービス:点検無料、6ヶ月保証、納品時送料当社負担、希望の納期設定、納品先指定、ホースの取替 等

【コメント】
大事な器材を長く使うためのお手伝いと考えて作業を行っています。未使用や旅行前に不安な器材は無料で点検しています。基本納期10日間ですが、ご希望の納期や発送先にも対応。ご予約順に作業をしています。

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ライター/後藤 ゆかり(MDWデスク)

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