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《ダイビングショップNANA By the sea》Presents
茂野優太 撮りおろし!

「三浦の海」の潜り方・撮り方

茂野優太 撮りおろし!「三浦の海」の潜り方・撮り方

今年4月、三浦半島の南端に《ダイビングショップNANA By the sea》がグランドオープンしました。精鋭ガイド揃いで知られる《ダイビングショップNANA》の支店としても話題となっているショップ。ここに、今もっとも注目の若手水中写真家・茂野優太さんが潜入し、その魅力に迫ります!

カメラマン・茂野優太さん(右)と、《ダイビングショップNANA》代表・佐藤輝さん

カメラマン・茂野優太さん(右)と、《ダイビングショップNANA》代表・佐藤輝さん

茂野優太さんプロフィール
1991年、神奈川県・横浜生まれ。横浜国立大学在学中にCカード取得。卒業後、銀行員として勤務するもダイビングが忘れられず水中写真家へ転身。「まだ見たことのない世界を見てみたい」をモットーに、各種メディアや自身のSNSで作品を発表。
>>YouTubeチャンネル

撮りきれないほどの被写体が待っている!

三浦の最大の魅力は、都心から約1時間という電車でも気軽に通える距離にありながら被写体の宝庫であること。ダイビングポイントは三浦半島の南端にあり、相模湾と東京湾の合流地点に位置するため魚影が非常に濃いのです。
加えてカエルアンコウやハナタツ、ウミウシやギンポなど、フォトジェニックで動きがスローなマクロ生物が多いため、シャッターチャンスは尽きません。そんな三浦の海で潜った茂野さんは、まず《ダイビングショップNANA By the sea》のガイド力に驚かされたそう。

「NANAのガイドさんたちは毎日海に潜り続け、すべてを把握しているので、次から次へと被写体を紹介してくれます。普通だったら待ち時間とか、次の被写体を探すまでに移動があったりするんですけど(笑)、それもないくらい次から次へと案内してくれます。撮りきれないというのも魅力です」

さらに、近年の水温上昇などによる磯焼けで減少してしまった生き物が三浦にはまだ残っていると茂野さんは指摘します。

「今まで伊豆半島で普通に観察されていた生き物がいなくなっています。海藻の森もそうですが、ハナタツやアナハゼ、サビハゼなどがどんどん少なくなってきているんです。そういう生き物が三浦にはまだまだいっぱいいるっていうのが面白いです」

また、珍しい生き物を集中的に紹介するのではなく「この背景にこの生き物がいるのが珍しい」とか、「この生き物をどうやって撮る?」とお題をくれるのだそう。

「そういった面でも被写体には事欠かないですね。珍しい生き物や種類の豊富さでいったら伊豆半島の方が多いと思うけれど、そこはNANAさんならではのガイド力で見せてくれます」

夏〜秋に観察できるイロカエルアンコウ。岩に付着した石灰藻の色をぼかし、背景はかわいいパステルピンク

夏〜秋に観察できるイロカエルアンコウ。岩に付着した石灰藻の色をぼかし、背景はかわいいパステルピンク

ニシキウミウシの赤ちゃん。シロガヤを入れ込んでファンタジックな世界観に

ニシキウミウシの赤ちゃん。シロガヤを入れ込んでファンタジックな世界観に

淡いピンクをバックに、あのアイドルたちを激写

三浦の海にはピンクの岩が多く、マクロ生物の背景を淡いピンクでかわいく仕上げることができます。透明度は伊豆と比較するとあまり良くない日が多いですが、他のエリアではなかなかできないパステルカラーの“映え写真”が撮影できるのです。

「岩自体にピンクやオレンジなどの色があって、それは目で見てもわからず、ストロボを当ててみて初めてわかるんです。『おーこんな色だったんだ』ってシャッター切った後に気付けて、それをどう活かそうかを考えるのが面白いです」

と茂野さん。では、三浦ならではの環境をどのように活かしているのでしょうか?

「岩の付着物は質感をぼかし、カラフルな色だけをもらって、ちょっと開放気味に撮ることが多いですね。『どうやってこういう色が出せるの?』ってよく聞かれます。被写体よりも背景に光を当ててあげて、その背景に当てた光の反射を被写体に回り込ませる、という撮り方をしています」

伊豆半島ではあまり見かけないシズミイソギンポ

伊豆半島ではあまり見かけないシズミイソギンポ

ニシキフウライウオ。パステルカラーの背景を生かした映え写真に

ニシキフウライウオ。パステルカラーの背景を生かした映え写真に

ウミイチゴなどの“生えもの”もこれからが増える季節

ウミイチゴなどの“生えもの”もこれからが増える季節

かわいらしいパンダホヤもたくさん観察できます

かわいらしいパンダホヤもたくさん観察できます

グビジンイソギンチャクに佇む1cmほどのイソギンチャクモエビ

グビジンイソギンチャクに佇む1cmほどのイソギンチャクモエビ

海藻の森のワイド&マクロ撮影が楽しい

海藻が最も多くなるこれからの季節は浅いビーチポイントを中心に、自然光で神秘的な海藻の森を撮影することもできます。また、淡い緑色を背景にしたマクロ写真もファンタジック。海藻を絡めたワイド&マクロ、いろんな角度から撮影が楽しめるのは三浦ならではの魅力です。

「温暖化で、伊豆半島も神奈川周辺も、海藻はどんどんなくなっています。カジメなんかは葉山でも見られなくなってきました。5、6年前から磯焼けが話題になっていて、ウニを駆除するなど対策もされていたんですけど激減してしまいました。三浦のダイビングポイントには、相模湾と東京湾からも潮が入っています。海藻が残っている東京湾からの潮も影響してか、相模湾で失われてしまった海藻やアナハゼ、メバルなどの生き物がまだまだ元気にいます。そのような環境に、どうやって被写体を絡めていこうか考えるのが面白いです」

と茂野さん。では、実際に次の作品を見ながら撮影のコツを教えていただきましょう。

海藻

「そんなに透明度が高くはないので、シャッター速度を使って背景が暗くなりすぎないように意識しています。海藻だけだと面白くないので、海藻の中に主張しすぎないぐらいに生き物を入れています」

ハナタツ

「ハナタツはいろんなところにいますが、海藻に絡むシーンは三浦でなければ狙えなくなってきました。この日の透明度は1mぐらい。透明度が良くてもグリーンっぽい感じはあるので、それは三浦ならではの海の色なんだと思います。そのグリーンを背景に活かして撮影するのも三浦ならではの面白さです」

冬は人気のダンゴウオ&ウミウシ狙い

冬は透明度が高い日が多いので、青抜きの写真もきれいにキマります。さらに人気のウミウシやダンゴウオも増え、ますます撮影が楽しくなる季節。茂野さんの狙いももちろんダンゴウオだそう。

「ダンゴウオも伊豆半島や神奈川周辺の海ではなかなか見られなくなっていて、三浦ならではの被写体だと思います。可愛いですねー。撮影当日は海のグリーンを背景に撮影しました。ダンゴウオにだけ光を当て、他の部分は光を当てないように撮影すると海の色がきれいに出ます」

大人気のダンゴウオは2〜5月がシーズン

大人気のダンゴウオは2〜5月がシーズン

冬は透明度が良くなり、水の色もクリアなブルーに

冬は透明度が良くなり、水の色もクリアなブルーに

ジボガウミウシは三浦に来航した船の名前が由来だそう

ジボガウミウシは三浦に来航した船の名前が由来だそう

〔ダイビングポイント情報〕
■ボートポイント 「カサゴ根」「トビ根」「ドチ根」「ナライカタ」
メインのポイントは「カサゴ根」「トビ根」。どちらもボートで約5分と近いので船酔いの心配もありません。最大深度は約18m、オープンウォーターライセンスの方も安心して潜れます。人気のカエルアンコウやハナタツは通年、夏にはネンブツダイ、スズメダイの群れが根を覆います。成魚や幼魚がコロニーを作るイシダイも大人気。ウミウシは数も種類も豊富に観察できます。比較的南風に強く、年間を通して稼働率が非常に良いポイント。東京湾、相模湾の合流地点となるため魚影が濃く、前述のマクロ生物から回遊魚まで水中生物が観察できます。

■ビーチポイント 「三浦ビーチ」
近年、周辺海域では見られなくなった海藻やチャガラをたくさん見られる希少なポイント。浅いので3本目にも最適。イソギンチャク畑もあり、冬は浅瀬の光を入れつつイソギンチャクや海藻などのワイド撮影が楽しめます。

今日の海日誌~三浦~

《ダイビングショップNANA By the sea》なら
電車でも通える! 撮影テクも磨ける!

《ダイビングショップNANA By the sea》では、1チームゲスト4人までという少人数制がとられているので、ゆっくりじっくり撮影ができます。水中写真に詳しいガイドさんばかりだからダイビング前に撮影したい被写体や、写真のイメージを伝えれば、それに近い被写体を案内してくれます。「水中写真の腕を上げるには最高の環境」と、茂野さんも太鼓判!

「NANAさんでは、同じ被写体を自分の納得のいくまで撮影させてくれるんです。船は毎回戻るスタイルだからすぐに撮影データをガイドと確認して、『もっとこう撮ればよかったね』って話して、また同じポイントでその被写体を撮りに行ける。1本目に感じた課題を2本目ですぐに活かせるんです。そういう環境はなかなかないです。水中写真を練習する上ではいいフィールドだと思います」

宮川湾でのボートダイビングがメイン

宮川湾でのボートダイビングがメイン

今年4月にグランドオープンしたばかり

今年4月にグランドオープンしたばかり

1本1本ショップに戻って画像をチェックできるのが嬉しい

1本1本ショップに戻って画像をチェックできるのが嬉しい

水中写真&ダイビングのスキルアップをサポートしてくれる
《NANA By the sea》のスタッフ陣

佐藤 輝 (さとう てる) さん

■佐藤 輝 (さとう てる) さん
《ダイビングショップNANA》代表。2008年のショップ設立以来、毎日のように葉山・三浦を潜り、ガイディングはもちろん、生態調査や水中撮影に尽力。ダンゴウオ、海藻の森など、湘南の水中シーンを世に広めた立役者。生まれも育ちも生粋の葉山っ子で、大学時代は体育会のヨット部に所属、卒業後はホテルの営業マンという異色の経歴も。昨年3月には写真集「湘南 波の下水族館」(共著)を上梓し、水中写真家としても活躍。

橋本 雅美 (はしもと まさみ) さん

■橋本 雅美 (はしもと まさみ) さん
学生時代にバレーボールで培った強い精神力は海でも活かされ、ゲストを安全に楽しくガイディング。一番好きな生物はウミウシ。愛称は“けんちゃん”

上島 寿美恵 (かみじま すみえ) さん

■上島 寿美恵 (かみじま すみえ) さん
《ダイビングショップNANA By the sea》店長。カメラ派からビギナーまで的確なアドバイスでサポートしてくれる頼もしい存在。元ナースならではの優しい気配りも。

永橋 麗良 (ながはし れいら) さん

■永橋 麗良 (ながはし れいら) さん
いつも笑顔で元気なNANAのムードメーカー。水中でも陸上でもみんなを笑わせつつ押える所はバッチリ押さえる「ガイド会」所属の次世代エース。

森田 雄也 (もりた ゆうや) さん

■森田 雄也 (もりた ゆうや) さん
笑顔がステキなNANAの癒し系キャラ。学生時代は卓球で腕を鳴らし、無類の爬虫類好きというマニアックな面もチャーミングな21才。愛称は“たいてぃん”。

佐藤 真紀子 (さとう まきこ) さん

■佐藤 真紀子 (さとう まきこ) さん
毎日美味しいお料理でゲストをもてなすNANAの美人女将。ロンドンに留学し、フラワーアレンジメントの勉強をしていたというエレガントな経歴も。

ダイビングショップNANA By the sea

佐藤輝さん率いる葉山の本店《ダイビングショップNANA》の三浦ブランチ。精鋭ガイドたちが独自の観察データに基づき、生き物やその生態を興味深く案内してくれます。ポイント開発にも余念がなく、つねに新鮮な情報を提供。ビギナーからカメラ派、茂野さんのような水中写真家からも厚い信頼を寄せられているダイビングサービスです。

右から代表の島野利之さん、小池広貴さん、人見茉莉(ひとみまり)さん、川嶋裕士さん、岩崎俊哉さん

店長・上島 寿美恵より皆さまへ
「4月にグランドオープンし、早8ヶ月が経過しようとしますが、まだまだ葉山に比べて認知度が低い三浦。三浦半島といえば葉山は勿論のこと、「三浦!」と言って頂けるよう、皆様に三浦の海をたっぷり紹介していきたいと思います。今回、茂野さんの写真を拝見し、私たちもあらためて三浦の海の魅力に気づかされました。こちらの記事を見て三浦の海が気になったお客様! ぜひ三浦へ遊びにいらしてください。皆様のご希望にお応えできるよう、NAANスタッフが三浦の海を全力でご案内します」

■アクセス
>車の場合 9時三浦ダイブセンター集合
>電車の場合 8時40分 京急「三崎口」集合(車での送迎あり)

〒238-0233 神奈川県三浦市向ヶ崎町9-4

■問い合わせ・予約は
《ダイビングショップNANA》

TEL: 046-854-4770
FAX: 046-854-4771

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ぱーこ先生と学ぶ相模湾

取材協力/ダイビングショップNANA
ライター/坂部多美絵