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基礎からわかる! ダイビングスキルアップ術
第18回 できる耳ぬき

基礎からわかる!ダイビングスタート&スキルアップ術

第9回で耳ぬきについて紹介しているので、基礎的なことはそちらをご覧いただきたいが、
「耳ぬきができなくて、ダイビングを諦めた」
「耳ぬきができなくて耳鼻科に行ったら、鼓膜をあけるといいといわれそうしたところ、潜れなくなった」
「以前は無意識に耳が抜けていたのに、最近抜けにくくなってきた」
「数日間のダイビング予定で潜りに行くと、後半、耳ぬきがしづらくてリバースブロックに悩まされる」
といった耳ぬきのトラブル相談がよく『マリンダイビング』編集部に届く。
どうしたらいいのか、どうすれば耳ぬきが快適にできるようになるのか、紹介していこう

耳ぬきができなくてダイビングを諦めた!?
大半は諦めなくても大丈夫なはず!

これからダイビングを始めようと思っている方にぜひ読んでいただきたいのだが、ダイビングは誰でもできる、楽しい海のレジャー。
でも、水中世界を楽しむためには、クリアしなければならないことがある。
その一つが「耳ぬき」だ。
人間の体はレジャーダイビングで潜る水深40mぐらいまではほとんど何も影響がないのだが、水深が深くなるにつれ、耳管に水圧がかかるため、浅いところから圧平衡、つまり「耳ぬき」を行なう必要がある。
体験ダイビングや講習生の中には耳ぬきができずにダイビングを諦めてしまう人もいる。
けれど、そういう人たちの大半は、耳ぬきが「できない」のではなく、耳を抜くタイミングが遅すぎたり、耳ぬきが正しくできていなかったり、方法がそもそも違っているから耳ぬきができなくなってしまったと考えられる。

第9回耳ぬき」では、耳ぬきの主なやり方が紹介されているので、
どの方法でやれば耳ぬきがしやすいか、陸上ででもいいので確認しておこう。

耳ぬきができず
耳鼻科医に鼓膜に孔をあけることを勧められた!?

冗談のような話だが、実際にはダイビングのことを知らない耳鼻科医が選択する方法の一つのようだ。

確かに圧平衡ができないから鼓膜に孔をあければ、圧力は均等になりやすい。
そして、多くの耳鼻科医はあけた孔は自然に閉じて、鼓膜は再生するという。
中耳炎などで中にたまった浸出液を取り出すためにそうした施術が行なわれることも確かだという。

けれど、ダイビングを専門とする耳鼻科医の見解は、一度孔をあけた鼓膜は、ダイビングができるぐらいまで再生するには相当時間がかかるし、ヘタをすると一生潜れなくなる可能性もなくはないというもの。

耳にトラブルを抱えているときは、ダイビングのことがわかる専門医に診断してもらうことが重要だ。月刊『マリンダイビング』で2017~2019年に連載してくださった北島尚治先生やDAN JAPANのDD NET(ダイバーズドクターネットワーク)にリストアップされている耳鼻科医をおすすめする。

以前は耳ぬきに困ることはなかったのに
最近、耳が抜けにくくなった

「これまで潜るときは、耳ぬきを意識したこともなく、鼻をつまむことすらしなかったのに、最近はかなり力まないと耳ぬきができない」
といった声もたびたび聞かれる。

人は年をおうごとに仕事の責任も増して、仕事がハードになり、本人は気づいていないだけで体調がすぐれない状態になっていることもあるだろう。寝不足が原因ということもあるだろう。
また、加齢によって耳管が弱くなってきたこともあるかもしれない。

今まで何もしてこなかった人は、鼻をつまむバルサルバ法でも、正しく耳ぬきができていない可能性も。

第9回「耳ぬき」でも紹介されているように、耳ぬきの際は空気を耳管に“送り込む”、例えば今までフンッと一瞬で行なっていた耳ぬきの時間をもう少し長くして、1秒かけてゆっくり行なうなど、普段から練習をしておくといい。力めばいいという問題ではないのだ。

ダイブクルーズで何日かすると
サイナススクイーズや
リバースブロックにかかりやすくなる

一日に2本ぐらいならまだしも、ダイブクルーズによっては一日4本、5本とかなり潜れてしまうものもある。
一日24時間、ダイビングをしている時間は長くても1時間程度であろうから、水面休息をたっぷりとっても一日4~5本は余裕で潜ることもできる。
それだけ体内に残留する窒素も増えるため、減圧症のリスクを考えると、決して推奨されることではないのだが、たくさん潜りたいダイバーにとってはまさに醍醐味だろう。

ダイブクルーズでも、連続した日帰りダイビングでも、反復潜水を繰り返すことで体は思った以上に疲弊して調子が悪くなる人もいる。

サイナススクイーズのサイナスとは、副鼻腔のことで鼻と前頭部にあるいくつかの空洞との間をつなぐ空洞。
ここに何かが詰まって、水中で圧平衡がとれなくなり、痛み(スクイーズ)が起こる。
サイナススクイーズの原因は、風邪による一過的な急性鼻炎や、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)といわれる。
何日も潜ることで一過性の急性鼻炎を起こし、サイナススクイーズにかかることもあるのだ。

リバースブロックは耳ぬきで送り込んだ空気が、浮上とともに膨張し、通常は耳管から抜けるところが抜け切れず内耳窓を圧迫。激しい痛みをもたらしたり、めまいを起こしたりすることも。
また風邪による一過性の急性鼻炎で起こることもある。

つまり、連日潜ることで体力が弱り、風邪を引いて急性鼻炎になり、サイナススクイーズやリバースロックを起こす――という可能性があるというわけだ。
毎日反復潜水をする場合も、睡眠をよくとり、体調を万全にしておくことが最も重要なことといえる。

いずれにしても、耳ぬき不良で困っている方や耳に異常を感じている方は潜水医学のわかる耳鼻科医で診療してもらうこと!

おすすめの耳鼻科医

北島耳鼻咽喉科医院(東京都練馬区)
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