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水中写真がうまくなる!!
第11回 どこまで寄るか、どれだけ引くか

水中写真がうまくなる!! ~プロが教える撮影テクニック~

みなさん、こんにちは。月刊『マリンダイビング』のカメラマンのはらだまです。
この連載では、水中写真の撮影機材や操作の方法、撮影のコツなどを、水中写真を始めたい、うまくなりたいという方に紹介していきます。ぜひ撮影のときに参考にしてみてください。

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被写体との距離の違いによって、被写体の大きさや、背景の処理が変わってくる
撮影地:土肥

被写体との撮影距離を考えよう

被写体を見つけて撮影するとき、気が付くと常に全身が写るように撮っているというようなことはないですか?もちろんしっかりと被写体を撮影する技術は大切なことです。ですが、毎回同じように被写体全体を撮るだけでは、撮影者がどの部分に魅力を感じて撮影したのかが伝わりにくいこともあります。そこで、今回は撮影者の意図を写真に反映するような撮影距離を考えてみましょうというテーマで解説していきます。

クダゴンべの全身を撮るのではなく、アップ気味の撮影距離で撮影。きれいな模様や表情が全身の撮影時よりもわかりやすくなった
撮影地:インドネシア・バリ

近くで撮ればいいというわけでもない

最近のデジカメ、特にコンパクトデジカメは、被写体に近くまで接近できる近接撮影機能が充実し、1cmまで寄れる機種もあります。小さな被写体が多い水中写真では、非常にメリットの多い機能ではありますが、陸上の撮影とは違い、被写体の色を再現するために、ストロボを発光させる必要があります。あまり近づいて撮影をすると、内蔵ストロボの光が画面全体に当たらず、作例のように一部が影になってしまうこともあります。解消するには、外部ストロボなどを利用したり、被写体との距離を離すなどの方法があります。こうした失敗写真に心当たりがある方は、被写体との距離を離すことから始めてみましょう。

内蔵ストロボだけで被写体に接近して撮影した結果、ストロボの光が画面全体に当たらず、影ができてしまった失敗例

遠すぎる撮影距離もNG

近過ぎる撮影距離だと、画面全体に光が当たらないという解説をしましたが、距離が離れすぎるのもストロボの光が届かず、水中写真ではいい撮影スタイルとはいえません。作例のように、距離が離れてしまうと、被写体全体を写すことはできますが、若干青カブリしてしまい、被写体本来の色を再現することができません。撮影距離をよく考えて撮影しましょう。

被写体の全身を撮ろうと、離れて撮影したために、ストロボの光が届かずに被写体本来の色が再現できていない

何を表現したいかで撮影距離は変わる

 写真を撮るということは、その被写体に何らかの感情が芽生えたからシャッターを押すのだと思います。そのとき撮影距離によって、表現する意味合いが違ってきます。作例1は、被写体は小さく写っていますが、住んでいるビンや、その周辺環境まで写し込んでいます。作例2になると、被写体に接近することで、被写体の表情や、ビンに住んでいるということがわかります。さらに接近して撮影した作例3では、さらに表情がよくわかり、体表のようすなども見てとれます。作者がその写真で何を表現したいかで、写す範囲や被写体との距離が変わってくるので、意識してみてください。

作例1 ミジンベニハゼを遠い距離から撮影。被写体は小さいが、周囲の生息環境もわかる
撮影地:安良里 (3点とも)

作例2 一歩近寄って撮影。周囲も若干写り、ビンを利用して巣を作るミジンベニハゼのようすがわかる

作例3 さらにアップで撮影。周辺環境よりも、被写体の表情がよくわかる大きさで撮影

作例1 ミジンベニハゼを遠い距離から撮影。被写体は小さいが、周囲の生息環境もわかる
撮影地:安良里 (3点とも)

作例3 さらにアップで撮影。周辺環境よりも、被写体の表情がよくわかる大きさで撮影

作例2 一歩近寄って撮影。周囲も若干写り、ビンを利用して巣を作るミジンベニハゼのようすがわかる

撮影者の意図を反映させる距離

写真を撮るとき、撮影者が何にいいと思って撮影したかを見る側に伝わりやすい写真を心がけてみましょう。この写真を撮ったとき、幼魚の色のきれいさや、半透明の美しさを筆者は感じました。一枚目は、全身を撮影しましたが、撮影者の意図が伝わりにくいのではないでしょうか。そこで一歩接近して、ややアップで撮影してみました。すると、撮るときに思ったヒレの色のグラデーションや、透明感がより表現できたのではないかと思います。撮影者が気に入ったところをしっかり撮れる距離を考えて、撮影してみましょう。

ミノカサゴの幼魚を撮影。まずは全身が写るように撮ったが、作者の意図するきれいさが表現できていない
撮影地:伊豆海洋公園(2点とも)

一枚目よりも被写体に接近して撮影。作者が感じた、ヒレのきれいさや、透明感のある体などがわかる写真に

寄ったら引いてみる、引いたら寄ってみる

被写体との距離は、どこを表現したいかや、背景の処理によって変わります。一枚目は、被写体をやや大きめに撮影してみました。背景は暖色系のソフトコーラルだけで、統一した色でまとまっています。はじめはこれでいいと思いましたが、少し距離を離して見てみると、ソフトコーラルの奥の海の青が美しく感じ、ここも写るような撮影距離で撮ってみようと思いました。それが二枚目の作例です。画面全体が一色に統一された感じもいいですが、青が背景に入ったコントラストのある作例もいいのではないかと思います。一つの被写体と向き合うとき、ここだという決まった撮影距離の観念だけでなく、気持ちに余裕を持って、撮影距離を変えて撮ってみましょう。

被写体に接近し、画面全体を一つの色でまとめた作例。統一感のある背景になった
撮影地:タイ・タオ島(2点とも)

一枚目から少し離れて撮影。ソフトコーラルの背景に海の青が入り、色のコントラストのある背景となり、一枚目とはまた違った印象の写真になった

ググッと寄ってみる

被写体の一部分だけを撮影してみるのも、アーティスティックな写真になります。その際、毎回生き物の顔を撮るだけでなく、ヒレなど体の一部をアップで撮るのも面白いです。被写体を部分アップで撮ることで、魚とわからなくても、色のきれいさを表現するという考え方で撮ってみるのもいいでしょう。ぜひ試してみてください。

魚の全身ではなく、ヒレだけをアップで撮影。独特の模様と形の面白さをアップで撮影してみた
撮影地:インドネシア・ロンボク島

ロクセンヤッコの体だけをアップで撮影。体の模様をアップで撮ることで、不思議な色の組み合わせの美しさを表現してみた
撮影地:インドネシア・コモド諸島

まとめ

 今回は被写体との撮影距離を解説しました。同じ被写体でも、どこまで寄るか引くかで、写る範囲や背景が変わります。被写体との距離を変えながら、たくさん撮ってみてください。

 次回は「横位置」と「縦位置」を解説します。気が付くと全部横位置で撮影していたということはないですか。縦位置での写真の効果と注意点を解説していきます。次回もお楽しみに。

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原田 雅章
1972年3月埼玉県生まれ。
日本大学芸術学部写真学科卒業。
大学在学中に沖縄を何度も訪れ、島の風景や人々に感動しスクーバダイビングを始める。
卒業後、(株)水中造形センターに入社。
同社出版物である『マリンダイビング』などの雑誌で活躍中。
国内は、伊豆半島、紀伊半島、沖縄各島など、海外は南の島を中心に、太平洋、インド洋、カリブ海など20ヵ国以上を撮影。
ダイビング経験は23年、約4500本の潜水経験を数える。
雑誌での取材はもちろん、各地でフォトセミナーを開催。"はらだま"の愛称で親しまれる。

次回更新予定日 2017年12月6日

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