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海のいきもの
第41回 歩くウオたち

海のいきもの

魚といえば「泳ぐもの」と相場が決まっている。なんて思ったら大間違い。歩くヤツもけっこう多いのだった。
というわけで、今回はウオーキングデッドじゃなくて、
ダイバーが見かけるチャンスのあるウオーキングフィッシュを紹介。●構成・文/山本真紀(2018年3月制作)

上から見るとトカゲっぽい?

ウオーキングシャーク

「歩く魚」で最近話題となるのはウオーキングシャークことエポレットシャークの仲間たち。大きな胸ビレと腹ビレを動かし、海底を這うように歩く(泳ぐことも多いけど)。歩くときは左右のヒレを交互に動すので、まるで巨大なトカゲのようにも見える。インドネシアからオーストラリアにかけて10種前後いるそうで、「◎◎モンツキテンジクザメ」と呼ばれる種類もいる(ただし日本では未確認)。●撮影/ラジャアンパット

アンコウの仲間の得意技?

アンコウの仲間にはチョウチンアンコウのように深海中層を漂う種類もかなり多いが、ダイバーが潜るような浅場に生息するアンコウたちはたいてい泳ぎが苦手。その代わり、胸ビレと腹ビレを手足のように使って歩くという特技がある。ここに紹介したほかにも、アカグツやフサアンコウの仲間がいる。

カエルアンコウたち

アンコウの仲間の中で最もよく見かけるのはカエルアンコウの仲間。写真はイロカエルアンコウの幼体で、たくましい胸ビレと小さな腹ビレで踏ん張っているところ。危険を感じて逃げ出すとけっこう速く、歩くというより走る感じのことも。チョッカイは出さないのが吉。また、カエルアンコウは「疑似餌」で獲物をおびき寄せることも知られており、「手足」とともにハンティングも見られるかも。●撮影/伊豆海洋公園

レッドリップバットフィッシュ

主にガラパゴス諸島で見られるので(ペルー沿岸にも分布)、ガラパゴスバットフィッシュとも呼ばれる。アカグツ科に属し、成長すると20cmほどになる。砂地や砂礫のやや深場に生息し、なぜか口元が赤い。
①横から見たところ。大きな腕のような胸ビレと細くて白い腹ビレで体を支えたり歩いたりする。
②後ろ姿は古生代の両生類っぽい(本物は見たことないけど)。●撮影/2点ともガラパゴス

たぶんアンコウ

初冬から春先、砂地の海底にしばしば出没するのはアンコウ(またはキアンコウ)。ふだんは砂中に埋もれて隠れているが、移動するときはズルズルと歩く。 なお、アンコウとキアンコウはよく似ており、特に30~40cm以下の個体では両種の識別は難しい。一応、灰黒色の斑点が口内にあればアンコウという話。もし70~80cm以上の大物がいたらキアンコウで間違いない。●撮影/西伊豆・大瀬崎

身近にいる歩くウオたち

一見ちっとも似てない気がするけれど、大きなカテゴリーとしてはヨウジウオ亜目に属しているウミテングの仲間たち。彼らも海底をノソノソと歩き回っているのです。
③よく目立つ長い吻(口)を天狗の鼻に見たて、付いた名前がウミテング。移動時は細長い腹ビレを使って這う。大きさは5cm前後で、砂地の海底に生息。●撮影/伊豆大島
④ウミテングとよく似たテングノオトシゴ こちらも器用に砂地を歩く。●撮影/東伊豆・富戸

ホウボウ

砂地や砂礫の海底に暮らすホウボウは、大きな胸ビレが美しく肉質は上品な白身、ダイビングのアイドルとしても食材としても個人的に大好きな魚。成長すると20~30cmとなり、伊豆半島では冬、やや深場でよく見られる。
⑤斜め正面からの姿。エラ穴の下あたりに見える3本の棒は胸ビレの遊離軟条で、指のように自由に動かすことができる。これで歩くように海底を移動するうえ、先端にある感覚器(味蕾)で砂中に潜む獲物を探し出す。
⑥歩けるといっても、急ぐときは泳いじゃいます。●撮影/⑤東伊豆・八幡野 ⑥西伊豆・土肥

おまけ~急ぐときは跳びます。

トビハゼの仲間

河口域の干潟や内湾の湾奥に暮らすトビハゼの仲間は、魚のくせに水中が苦手。陸上生活者じゃないかと思うほどだが、水辺からは離れられない。陸にいるのにどうやって移動するかといえば歩く。胸ビレ基部の筋肉がよく発達し、けっこう素早く這い回る。危険を感じたときや急ぐときなどはジャンプを繰り返し、見ていて飽きない。大きさ4~7cm。日本にはトビハゼとミナミトビハゼがいる。●撮影/新江ノ島水族館

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