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地球の海 フォトコンテスト2016
自由部門 上位入賞作品

自由部門 上位入賞作品

グランプリ

猪突猛進
松本昭子/京都府

キヤノンEOS5DMarkⅢ EF16-35mm F2.8L USM ジリオン 自然光 f5.6 1/125秒 ISO800 トンガ 水面下

「受賞のお知らせに驚き夢のようです。巨大な母子と初めて出会った感動も昨日のことのように蘇ってきました。トンガ・ババウは安心して子育てできる海のようで、たくさんの親子がおりました。それぞれの親、子どもに性格があり、母の陰に隠れるシャイな女の子もいれば、画像の男の子のように好奇心の強いヤンチャ君もおりました。たまにママから“いい加減にしなさい”と鼻先で突つかれたり。そんな元気いっぱいの姿をカメラに収めることができて本当に嬉しく思います」

審査員作品評

福永友保
無条件に被写体そのものの強さが素晴らしい。アングルやクジラの形、水面の美しさなど、被写体そのものの強さを引っ張り出すための材料がそろっていて、それをまたうまく処理しています。技術的なことをいえば、フォーカスゾーンをうまくつかって表現しているあたり的確です。男女を比較して男性の作風はこうだとか女性はああだということはあまり言いたくないけれど、この作品の撮影者は女性なんですよね。ちょっと驚きました。女性カメラマンの世界がまた広がって、「こりゃあ野郎ども気をつけろよ」という感じです。

高砂淳二
今回はザトウクジラの素晴らしい写真がたくさんありました。その中でもこのグランプリ作品は完璧です。迫力があり、角度も動きもいいし、固い光の中できちんとクジラの質感も出ています。若いクジラが面白がってダイバーに寄ってきてくれたのかな? そんな目つきも写っているし、「こんなシーンに出くわしてみたいよね」って思わせてくれるいい写真です。トンガにはまだ行ったことがないので、「僕も早く行かなきゃ」って思いました(笑)。 でも、少しもったいないかなぁ。というのも、同じ方の撮影で水中バック転をしているようなクジラ作品があり、どちらを選ぶか非常に悩みましたから。あちらにもクジラと人との関係性という面白さがありましたが、1人1部門1点という入賞規定のため落選となってしまったわけで残念です。

準グランプリ

興味津津
伊藤令子/東京都

オリンパスTG-4 PT-056 S-2000 インドネシア 水面下 ダイブドリームインドネシア

「インドネシアのマウメレ~アロールのダイビングクルーズで潜ったPura Islandでの出会いです。かわいいクマノミやウミウシをたくさん見て、安全停止後に浮上すると、現地のおじさんが“心は少年”のままこちらをじっと興味深く見つめておりました。私の真後ろにいたのでとても驚きましたが、この光景は残しておこうととっさに撮影したものです。今後も海の生物だけでなく現地の方々との交流も大切にしていきたいです。ありがとうございました」

審査員作品評

福永友保
陸上写真の世界では30年も40年も前からこういった表現がドンドン出ておりますが、それが堂々と水中写真の世界にも登場してきましたね。細かいところを見ると、すごくよくできている。ストロボを一発かましてアイキャッチが入っていることや、肌の色に波がキラキラして、水面の反射で青とのコントラストを付けていることなどなど。水中写真という垣根を越えて、写真という大枠で捉えても存在感がある作品です。

高砂淳二
この作品には、クジラにも負けない強さがあります。予選の最初に僕がピックアップしたのですけれど、見たとたんに吹き出しちゃった。メガネのところなど彩度がすごいでしょう? 多分この漁師さんが愛用のメガネに色を塗って使っているのでしょうね。オシャレさとドギツサと不思議さ、いかにも漁師という顔つきとヒゲ、ストロボを使っているから目の光も非常に強い。妙にリアルで面白いじゃないですか。水中写真はダイビングスポットや海底まで行って撮らなきゃならないものではなく、「ビビッときたものを自由に撮っていいんだ」ということを思い出させてくれました。

第3位

「しぼり染め」
丸山 博/埼玉県

オリンパスTG-4 PT-056 f6.3 1/200秒 高知県・柏島 水深10㍍ AQUAS

「昨年の秋、高知県沖ノ島周辺のオニヒトデ駆除活動に参加した後で柏島に立ち寄りました。 この20数年で南の海のサンゴが減りゆく姿を目にしているので、この海域のすばらしさに感激します。豊かな海は昔からたくさんのモノを与えてくれたのだろうと思いながら潜っていたので、普段あまり気に掛けないナマコに目がいき、よく見ると模様が着物の柄にそっくり。織物を編む駒にエビを見立てて、その柄をテーマに撮りました」

審査員作品評

福永友保
高砂先生と審査をしていて、一番議論となったのがこの作品です。他の作品と比べて勝るところは特にないんです。だけれど、写真をパッと見たときの一撃、印象の強さというものがある。写真の強さには被写体の強さと表現の強さがあるのですが、アートとしては後者を尊重したい。この作品にはそれがある。そこにエビがいるとか何とか、そういったことを離れて被写体を色と形だけで見ることができる感性を持つ人だと思います。本人がどこまで意識しているかはわかりませんが、見た人にものすごいインパクトを与える作品です。こうした作風が自由部門に出てきたことがうれしいです。

高砂淳二
ヒトデかナマコの上にエビが乗っているところでしょうか。ここだけ切り取ってみると、こんなきれいな世界が広がっているんですね。なんて不思議なんだろう。そんなことを改めて思い出させてくれる作品です。まるで宇宙のようで、それを普通にコンパクトカメラで撮ってくれているという点が新鮮。やはり撮る人の目なんですよね、重要なポイントは。

優秀賞

入賞作品のうち、特に審査員の心に響いたもの、または最後まで上位入賞を競った作品です。

歯科健診
粕谷 徹/神奈川県

キヤノンEOS5DMarkⅡ EF 8-15mm F4L ジリオンZAP-5DMarkⅡ D-2000 f9 1/77秒 ISO1600 阿嘉島 水深10㍍

審査員作品評

福永友保
一発ストロボをたいているから魚が光って見えているのですが、ちょうど黒いバックのところで浮き上がらせています。そして、光に抜けたところには、壁と対比させるかのように黒いシルエット(ダイバー)を置いている。画面全体を右上から左下に斜めに落ちるラインに収めるのも感性の表れでしょう。これだけの構図を水の中で考えられるとは、優れた構成力を持った人といえるでしょう。

万華鏡
斎藤光一/東京都

ニコンD90 AF フィッシュアイニッコール10.5mm F2.8 ジリオン 自然光 f8 1/500秒 ISO200 モルディブ 水深1㍍

審査員作品評

高砂淳二
これは大変気に入った作品です。「こういう写真を撮りたい」と僕自身が思っていたもののひとつですが、これが非常に難しい。まず水面がこれほど穏やかで、リフレクションが完璧に映っている状況はめったにありません。しかも、この中央のハタタテダイは水面ぎりぎりまで迫って、見事にシンメトリーに映っている。まさに理想的な状況。そのチャンスを逃さず完璧に捉えた撮影者は見事なものです。さらに、これを縦位置に見るように指示して左右の世界につくり変えている。水中という重力から解放された自由な世界を表現しているのではないでしょうか。

光芒
藤田 格/神奈川県

キヤノンEOS7DMarkⅡ トキナー AT-X 107 DX ジリオン ZAP 7D MarkⅡ D-2000×2灯 f8 1/125秒 ISO200 インドネシア・ラジャアンパット 水深5㍍

審査員作品評

高砂淳二
今回は光のシャワーを捉えたいい写真がたくさんありました。その中でもこの作品は面白いです。水面に映る木々とそこから漏れる太陽の光、その下にイソバナが同居している。陸のものと海のものの融合です。そして他のものは一切写さない。周りに岩などもあるんですが、ライティングでイソバナだけ起こして岩はうまく消しているんですよ。ストロボとバックのバランスも絶妙。優しいグリーンと淡いイソバナの色合いもきれいですね。一枚の絵としていい、ハーモニーを感じさせてくれます。

Light Painting
Wu Lynn/台湾

オリンパス PEN LiteE-PL5 M.ZUIKO DIGITAL ED 60mmF2.8マクロ PT-EP10 Z-240 f16 1/250秒 ISO200 インドネシア・バリ島 水深10㍍

審査員作品評

福永友保
技術的にとても優れています。まず、クマノミだけスポットを当てて浮かせている。まわりのイソギンチャクは縁だけ光らせる絶妙のライティングで、なおかつバックは真っ暗に落としている。最初から結果を期待したライティングをしているのだと思わせる、技術の巧みさを感じさせます。レベルの高い、表現のための技術を持っている人だと思います。

エリア賞

世界の素晴らしい海の中でも、特にダイバーに人気が高いエリアの名を冠した特別賞。自由部門からは、フィリピン賞とニューカレドニア賞、パプアニューギニア賞の3賞が選出。

フィリピン賞
シャッターチャンス

森本一宏/高知県

ニコンD800 シグマ 15mm FISHEYE ネクサス D800 D-2000×2灯 f13 1/60秒 ISO100 フィリピン・バリカサグ島 水深15㍍

ニューカレドニア賞
舞姫

梶川海人/埼玉県

ソニーNEX-5N SEL 1855 APSO-NEX-5 S-2000 f14 1/160秒 ISO400 ニューカレドニア 水深10㍍ ALIZE

パプアニューギニア賞
たおやかに

伊藤 薫/大阪府

キヤノンEOS7D トキナー AT-X 107 DX FISHEYE10-17 F3.5-4.5 MDX-7D S-2000 f9 1/80秒 ISO320 パプアニューギニア 水深18㍍ タワリリゾート

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