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タオ島の海の魚影がめちゃくちゃ濃い理由

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タオ島の海の魚影がめちゃくちゃ濃い理由

世界のダイバーが何度でも通いたくなる海として人気のタイ、タオ島。
日本からもリーズナブルに行け、さらに運が良ければ憧れのジンベエザメも現れる海としても大人気。
実際潜ってみると、その魚影の濃さに驚かされるわけだが、タオ島の海がどうしてこんなに濃くて、ダイバーを魅了するのか、理由を探ってみた。

タオ島は太平洋のどん詰まりにある

一日に一度しか潮の干満がない「日周潮汐」の海

 タオ島は太平洋の東端、大陸がぐりっとえぐれたタイ湾(古くはシャム湾と呼ばれていた。タイランド湾とも呼ばれる)の奥底に浮かぶ南北約7km、東西約3kmの小さな島。このタイ湾、実は氷河期の頃までスンダランドと呼ばれる陸地だった。おそらくデルタ地帯のように平地が広がっていたと考えられるが、氷河期が終わるとともに海面が上昇し、紀元前12,000年前から紀元前4,000年と8,000年もの歳月をかけて海の底に沈んだものと推測されている。現在でも広大なタイ湾の水深は平均45m、最大水深は80mと、かなり浅い。さらに湾の形状がえぐれていて入り口が狭いという地理的な条件もあって、水深の変化によって起こる流れがほかの海洋に比べてほとんどない。

 また、タイ湾の奥にあるタオ島の周辺は、本来なら半日周期で起こる潮の干満が一日に一度しか起こらない。「日周潮汐」と呼ばれる珍しい現象なのだが、こうした地理的要因と海洋条件から、タオ島は地球上の中でも非常に特異な海であることがうかがい知れる。

タオ島 タオ島で最もにぎわっているサイリービーチ。沖までひたすら遠浅の海が広がる

タオ島で最もにぎわっているサイリービーチ。沖までひたすら遠浅の海が広がる

天敵がいないから安心して過ごせる海況

 海流がほとんどなく、日周潮汐であることから、タイ湾は太平洋など大海の海水の流入がさほど激しくないのが特徴。だからだろうか、ほかの太平洋で見られるハナダイやクマノミなどの種類が非常に少ない。少ないのだが、この環境に適応した種にとっては、天敵も回ってこず居心地が相当良いらしく、“人口”は圧倒的に多い。

 おそらく潜ってみて私たちが驚かされる魚影の濃さ、群れの大きさ、密度の濃さは、これらいくつかの条件が生みだした結果なのだと思う。

タオ島には少ないハナダイの仲間だが「チュンポンピナクル」にアカオビハナダイが棲みついていることはつとに有名。クロリボンスズメダイは何百万といる

タオ島には少ないハナダイの仲間だが「チュンポンピナクル」にアカオビハナダイが棲みついていることはつとに有名。クロリボンスズメダイは何百万といる

魚や生きものがのんびり暮らす海

 生息する魚や生きものの数が非常に多いのに加え、彼らは天敵に生命を脅かされることに慣れていない。だから、ダイバーが近づいても、ほかのエリアではかなり遠いところでも引っ込んでしまったり逃げられてしまう魚や生きものが、タオ島周辺の海ではそこに留まったまま、逃げも隠れもしない、といううれしい状況になる。水中撮影をするダイバーにとっては天国である。
 実際、『マリンダイビング』で活躍している水中カメラマン・北川暢男は「魚が逃げないから、タオ島が一番好き!」とのたまわるほど(たぶん、そこには彩りの美しい景観や地形のおもしろさなども加わっているのだろうが、何しろ言葉少ななキャラクターなので……)。
 いずれにしても、タオ島の海がダイバーだけでなく、魚や生きものにとって、最高の楽園であることに間違いがなさそうだ。

最もわかりやすいのがイバラカンザシ。かなり近づいてもあまりひっこまない(もちろん、ものすごい勢いで近づけばひっこむが)

最もわかりやすいのがイバラカンザシ。かなり近づいてもあまりひっこまない(もちろん、ものすごい勢いで近づけばひっこむが)

魚群が狙える3大スポット

ここを潜らずにはタオ島を潜ったとはいえない!?

チュンポンピナクル 
Chumphon Pinnacle

ホソヒラアジのびっしりとしたアジ玉も常連。たいてい根の上で見られる

ホソヒラアジのびっしりとしたアジ玉も常連。たいてい根の上で見られる

タオ島の北西、サイリービーチからだとボートで約1時間の隠れ根スポット。
年に数回、ジンベエザメが現れることでも人気のビッグスポットで、根のトップにハナビラクマノミが舞うイソギンチャクのジュウタン、根の南北でキンセンフエダイの玉のような大群、そしてシェブロンバラクーダの群れに大型回遊魚、巨大なヤイトハタ……と、群れ、大物、群れ、大物とせわしなく目の前に現れる贅沢っぷり。最大水深は26mぐらいで十分お腹いっぱいになれる。ただし、根の上は浅いところでも水深13mなので、無減圧潜水時間は厳守で。

根が見えなくなるほどの魚群にボー然!

サウスウエストピナクル 
Southwest Pinnacle

根が見えなくなるほどのキンセンフエダイの群れ。「ゴールデンウオール」と呼ばれるのも納得

根が見えなくなるほどのキンセンフエダイの群れ。「ゴールデンウオール」と呼ばれるのも納得

タオ島の南西、「チュンポンピナクル」と同じように水深25mぐらいから立ち上がる隠れ根スポット。「サウスウエストロック」とも。
根に何万といるのではないかと思われるほどキンセンフエダイが群れていて、群れを前にすると根が見えなくなるぐらいの密集度。群れの中に分け入ると魚がぶつかる寸前を泳いで行くのがわかる。黄金色に輝くさまから「ゴールデンウオール」とも呼ばれるほど。
ほかにもバラクーダやユメウメイロ、ホソヒラアジなどの群れに、中層ではアカオビハナダイのコロニーも。根のトップにはハナビラクマノミが舞うイソギンチャク畑……。
運が良ければジンベエザメが現れることもある夢のスポットだ。

当たれば大物・魚群のオンパレード!

セイルロック 
Sail Rock

浮上しようと思うと船の周りにはツバメウオの群れが! 上がれない(汗)

浮上しようと思うと船の周りにはツバメウオの群れが! 上がれない(汗)

タオ島の南、サムイ島との中ほどにあるスポットで、サムイ島滞在でも日帰りダイビングが開催されている。サイリービーチからボートで約2時間(1時間半といわれるが、2時間ぐらい見ておいたほうがよさそう)なのでリクエストベースのフルデイトリップで出かけることが多い。
大海原に突如現れる巨岩“セイルロック”の周りを潜るもので、ダイナミックな水中景観と、巨岩が織り成すアーチやトンネルが楽しめる。
だが、一番の魅力は潮に乗って集まってくる大型回遊魚。バラクーダやギンガメアジのものすごい群れに加え、何千単位のホソヒラアジ、50〜100尾はいるツバメウオ……が次から次へと出現。当たり外れはあるが、当たればもう頭が真っ白になるほどの迫力だ。
さらに運が良ければカジキやジンベエザメも登場するというから、ホント、うかうかしていられない。

編集スタッフ・ゴット姉さんがお気に入り♪

ヒンウォンベイ
Hin Wong Bay

南西風が強かった日に出かけた東側の「ヒンウォンベイ」。
ここには浅瀬のサンゴ礁にホソヒラアジが雲のようにたちこめていて、魚群にまみれる体験ができる。
ゆっくりそろそろと、群れが散らないように息を殺して(水平移動をすれば許される!?)群れの下をくぐっていくと、頭上にびっしりとホソヒラアジの群れ。太陽とからめれば幻想的な写真も撮れる。
止めていた息をゆっくり吐き出すと、魚群の中にエアホール。
こんな体験ができちゃうのも、魚との距離がとっても近いタオ島だからこそなのでは?

サンゴ礁の上にびっしり固まっているホソヒラアジの大群

サンゴ礁の上にびっしり固まっているホソヒラアジの大群

魚群の下に入り込み、魚群を見上げる。エアを吐くと“エアホール”ができた

魚群の下に入り込み、魚群を見上げる。エアを吐くと“エアホール”ができた

『マリンダイビング』4月号
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